概要 about
製造、生産、流通およびサービス等の社会・経済活動は、ESG(環境、社会、ガバナンス)に関連す る様々なリスクによって脅かされています。近年、その影響は新型コロナウイルスや地政学的リスク、 さらには途上国における自然資本の毀損や人権問題等によりますます増大し、全世界的な課題となっ ています。
本機構は、オブザーバトリ(観測所)の名の通り、多様な社会・経済活動をデジタルデータとして 観測可能にすることで、リスク予兆の早期発見やリスク対処策の提案等を通じて、国や企業が地球規 模の大きな環境変化に直面した際の活動の速やかな復旧・リスク回避のアクションをとることができ る、多様性に配慮したレジリエントな社会の実現、強化をめざします。本機構では、2050 年の社会や 経済活動のあるべき姿からのバックキャストによりレジリエントな社会のグランドデザインを描き、 国や産業界に向けて分析結果や政策を発信・提言するとともに、日立グループ等との共同研究により、 本機構での開発技術や取り組みの実証を行うことで、早期の社会実装と価値提供をめざします。
本機構での最初の取り組みとして、エネルギーの安定供給、食糧危機、差別や不公正等の様々な課 題がある中で、近年災害やパンデミック等の影響で分断のリスクが顕在化した、サプライチェーンの レジリエンス向上に向けた研究を開始します。多様な生産・流通・サービスに関する統計情報や、ニ ュース・ソーシャルメディア情報等のオープンなデータと、企業のもつクローズドなデータとをリア ルタイムで収集・蓄積・関連付け・利活用することにより、それぞれの社会活動の状況や材料・部品 不足等のリスクの観測や分析を可能とするとともに、これを活用して代替サプライヤーの確保や在庫 調整等の施策につなげる検証を行っていきます。