研究テーマ・グループ Research Themes and Groups
利活用に関する研究グループ「金融・セキュリティ分析チーム」
チームリーダー:山口 利恵(東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センター・准教授)
研究テーマ:金融・物流・人流データの分析によるレジリエンスの実現
ソーシャルICT研究センター
ソーシャルICT研究センター
ソーシャルICT研究センター
ソーシャルICT研究センター
山口研究室では,従来より情報セキュリティやプライバシ保護技術の研究に興味を持ち,特に、人々の行動や移動パターンをデータとして解析し、その結果を利用して個人を認証する「ライフスタイル認証」という新しい手法を研究しています。この技術は、従来のパスワードや生体認証(指紋や顔認証など)とは異なり,ライフログと呼ばれる移動の履歴や行動パターンに基づいて認証を行います。この手法の特徴は,個人の日常的な行動やライフスタイルが鍵となる点です。
私たちが研究を進めている背景には、時系列データの重要性があります。時系列データとは,時間の経過とともに変化するデータのことで,具体的には,人々の移動データ(人流データ),物流の流れを示すデータ,さらには金融取引に関連するデータなどが挙げられます。このようなデータには,平常時の動きと異常時の動きに違いが現れる特徴があります。その違い,つまり「変化点」を見つけることで,特定の時点で何らかの出来事が発生した可能性を推測することができます。たとえば,人流データにおける異常な変化は,災害やイベントの発生,物流データの変化はサプライチェーンにおける問題やトラブルの兆候ということです。 時系列データを解析するための研究は,対象となる分野が異なっても,多くの共通点があり,使用するアルゴリズムや解析手法に類似性がみえます。 現在、私たちは従来の研究をさらに発展させ,物流データの解析を行っています。特に、船舶や航空路線といった大規模な輸送データを分析することで,物流ネットワーク全体の動向を把握し,問題が発生した際に迅速に対応するための基盤を構築することを目指しています。物流は現代社会における重要なインフラであり,その効率性と安定性を保つことは経済や日常生活において欠かせない要素です。そのため,物流ネットワークの強靭性,つまり「レジリエンス」を高めることが私たちの重要な目標となっています。

